バスによる代行輸送が続く美祢線:長州の旅・萩秋吉編⑦最終回
美祢駅からは美祢線に乗り厚狭に行く計画でしたが、一つ問題がありました。実は美祢線は2023年6月30日から7月1日にかけて西日本で発生した大雨の影響で、四郎ケ原駅~南大嶺駅間にかかる第六厚狭川橋梁が崩落し、全線が普通となっています。このため、現在はバスによる代行輸送が行われています。
美祢駅は、2024年3月に全線開通100周年を迎えましたが、祝うことができるような状況ではなくなってしまいました。
2024年5月に山陽小野田市で開催された「JR美祢線利用促進協議会」の総会で、JR西日本側からは「ワーキンググループの検討結果を踏まえると、JR単独で持続的な運行は困難だと見ている」との見解を示すとともに、協議会に新たな部会を設け、美祢線の今後の在り方を協議することが提案されています。また、同年8月に開かれたJR西日本と沿線自治体との会合で、鉄道での復旧をする場合、復旧費用に58億円以上かかるとの試算が示されています。
現在でも具体的な復旧スケジュールは示されておらず、これらの報道からJR西日本では美祢線の廃止を視野に入れていることが推察されてしまいます。
美祢線は山陽線厚狭駅と山陰線長門市駅を結ぶ46.0㎞を営業区間としており、両駅を含めた駅数は12あります。事実上のローカル線ですが、かつて貨物輸送が多く行われていたことの名残で、幹線扱いとなっています。しかし、現在では貨物は廃止されており、JR西日本にとってもお荷物路線となっていたことは否めません。
列車が来ない駅は人気がなく、駅前通りにも人通りは全くありません。銀行などの公共施設は撤退しており、駅近くには中華料理店が1店あるだけでした。
夕暮れになると寒風が身にしみます。
厚狭駅行きの代行バスが入ってきました。
代行バスは原則として鉄道駅に停車し、運賃も列車と全く同じに設定さています。きっぷは駅の自動販売機で購入するルールになっています。
この日に乗ったのは、時刻表に掲載されている通常運転(1日7本)のものとは別に利便性向上実証事業として運行されている快速バス(同7本)でした。美祢市役所など駅ではないところに停車しますが、厚狭までの幹線道路で信号に引っかかるところがほとんどなく、19.4㎞の距離をわずか25分(通常バスは34分)で到着しました。
私が利用した代行バスは、私を含めても5名しか乗車しておらず、明らかに復旧させるコストに合わない状況でした。
こうしてみると、運賃が据え置かれ本数が増えるのであれば、廃止してバス転換すればよいように思えてきます。もっとも、鉄道路線のバス転換には反対論が根強く、実際に廃止されたところでは、利用者が激減したケースが多いようです。鉄道は定時性への信頼感が強く、「廃止されたらバスではなく自家用車」と考える方が多く、簡単にはいきません。
厚狭駅は新幹線こだま号も停車する駅ですが、この日の目的地下関には新幹線の駅はありません(郊外の新下関の新幹線駅からは結構遠いです)。厚狭からは山陽線の普通列車に乗車し下関に到着しました(なお、やまぐちセントラルバスの西限は厚狭-長門市で、厚狭以西は使えず乗車券を購入する必要があります)。
萩秋吉編は今回が最終回となります。この続きは下関・北九州編として4月16日から再開します。
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