あちこち旅日記

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このままでは若者だけでなく中高年の海外離れが進むかもしれない

 ここ数年、海外に行くたびに、ホテルでの日本人向けサービスが少なくなっているように感じます。一番の例が、テレビの日本語チャネルが少なくなっていることです。韓国、台湾のようにNHKの国内向けの衛星放送の違法な受信が行われているのは別として、多くの国ではNHKの国際放送がCATVなどを通じて視聴でき、日本で起こっていることについて情報が容易に入手できていました。また、NHK以外にも娯楽番組が視聴できるところが多かったです。しかし、最近では4~5星クラスのホテルでも視聴できないところが増えてきています。また、どこにも必ずいた日本人マネージャーも減ってきています。明らかに日本人客の減少を反映しています。


 近年、若者の海外旅行離れが指摘されています。かつては、外国語に自信がない方向けにハネムーンツアーなども実施されるくらい、「一生に一度は海外に」の風潮がありましたが、「パスポートを一生持たないであろう方が増えてきている」と指摘する声もあります。


 これまで、円安のメリットを指摘する声が多かったのですが、最近は状況が大きく変わってきています。確かに、円安によりインバウンドツーリズムが活性化され、爆買いが地方に大きな恩恵をもたらしてきました。また、輸入関税の引き下げにもかかわらず、日本の農業の衰退にも一定の歯止めがかかっています。さらに、円安は輸出製造業の採算改善要因になると期待されてきました。実際に、リーマンショック以降をみると、円安局面で株高傾向がみられました。


 しかし、最近では円安局面で株安、円高局面で株高になるケースもあり、市場も単純に盲目的に円安を期待しなくなっています。



 日本経済の歴史をみると明白ですが、オイルショック後に日本経済が最も力強く成長し、株高が進んだのは1980年代後半の円高局面でした。円安で株高だった局面は、リーマンショック以降の10年あまりしかありません。


  不幸中の幸いにも日銀の政策転換と米国の景気落ち込み観測から年末にかけて円高が進んでいますが、これは日本経済が回復したわけではなく、本質的には何も変わっていません。


 では、今後さらに円安が進むと、日本経済に今後どういった影響が出てくるでしょうか。輸入物価が上昇し、購買力が削がれることは皆さまも既にお感じになっていると思いますが、今後は円安が好ましいとされてきた製造業すら競争力の低下にもつながってくるのではと危惧しています。既に多くの企業の海外への生産拠点の移転が進み、製造業も輸出採算は円安で改善しにくくなっています。また、円安により外国人にとって日本の賃金が低下してきていることの弊害にも注意が必要です。これまで低賃金で集めることのできた外国人労働力(研修生という名目で集めてきた低賃金労働力)が集まらず、人手不足が深刻化する恐れがあります。ましてや高度な外国人人材の誘致は困難になってくるでしょう。


 一方、若者の海外流出が進む恐れがあります。高度人材の流出にとどまらず、サービス業の分野でも寿司職人などの熟練労働力が高給で海外に引き抜かれる恐れがあります。さらには、未熟練労働力であっても、時給の高い海外に人材が流出する恐れがあります。観光目的で出国し、現地で不法滞在する者も出てくるでししょう。


 日本人がビザなしで入国できる国は世界で最も多く、日本のパスポートは世界最強と言われますが、これは日本人による犯罪や、不法就労者が少ないことから、世界各国で日本人の信用が高かったためにほかなりません。円安が一層進むと、皮肉にも若者の海外離れに歯止めがかかり、海外での不法就労が増加し、日本のパスポートの信頼度が低下。しまいには、中高年にしわ寄せが行き、海外旅行が一層落ち込む事態が懸念されます。海外でロングステイをと楽しみにしているシニア層(とその予備軍)には、コスト高だけでなく、外国政府からも厄介者扱いされ、ビザ取得が難しくなるという困難が待ち受けています。


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