あちこち旅日記

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イスラエル訪問記(中):投資ブームに沸く経済の中心地テルアビブ

 前回に引き続き、2019年7月のイスラエル訪問記です。昨年9月26日に投稿したものを加筆修正したものです。ハマスに関する記述は敢えて修正していません。今回はイスラエル最大の経済都市で、事実上の首都機能を担っているテルアビブです。
 
  イスラエルでは、公式にはエルサレムを首都としており、政府機関や議会などはエルサレムに置いていますが、パレスチナやそれを支持するアラブ諸国への配慮から日本など多くの国はこれを認めず、大使館をテルアビブに置いています。また、経済の中心地として主要なイスラエルの銀行の本店や証券取引所もテルアビブにあります。


 テルアビブでは、海に近いメトロポリタンホテルに3泊し、ここからエルサレムに通う形にしました。朝の散歩や、食事の場所にも困らない便利な場所にあります。ビジネスにも使える4星クラスのコスパの良いホテルでした。




 ちなみに、治安は日本並みに良好です。日本人には「テルアビブ空港乱射事件」のイメージが強い地名ですが、テロ事件はテルアビブではほとんど聞きません(テロが起きているのは、イスラエルが支配しているヨルダン川西岸地区の占領地がほとんどで、住民に恨みを買っている軍人や警察官が標的になっています。観光客やビジネスマンが狙われることはまず無いようです)。

 またテルアビブでは暗くなっても、女性の一人歩きも全く問題ありません。スリやひったくりなどの話もほとんど聞きません(少なくともエルサレムと比べてもテルアビブの雰囲気の良さは感じます)。


 唯一気になるのは、対立関係にあるパレスチナ自治区ガザ地区を実効支配するハマスや、北で国境を接するレバノンの親イラン武装組織ヒズボラによる攻撃です。特にハマスは毎年数百~数千発のミサイルをイスラエル領内に打ち込んでいます。ほとんどは性能が低いので、国境付近に墜落してしまいます。


 なお、ガザからミサイルが発射されると、イスラエル空軍のレーダーに捕捉され迎撃システムが作動します。オフィスビルやホテルなどには、避難用のシェルターが装備されています。テルアビブに飛来するまでは90秒かかり、サイレンが鳴っている間に逃げ込めば大丈夫とのことです。たまに、年間1~2発、テルアビブ郊外の畑に着弾するものもあるようですが、市内に着弾したケースはないそうです。


 イスラエルでは、交通系カード「ラヴカヴ」が必須です。これがないとバスにも乗れません(現金での支払いはできず、車内でのチャージもできません)。記名式と無記名式があり、前者は裏面に写真が入ります。

 現金からチャージすると、2割程度クレジットがもらえ、かなりお得な支払い手段になっています。市内バス以外にも長距離バス(テルアビブーエルサレム間など)、列車にも使えます(交通機関以外での支払い手段は当時は限定的でした)。


 
  イスラエルでは流しのタクシーを捕まえるのは難度が高く、バスを使わないといけないシーンに何度か直面しました。イスラエルでは、ウーバーの代わりにGETTなどの独自のライドシェアが発達しています。しかし、白タク営業は禁止されており、GETTなどは実際にはタクシー配車アプリとなっています。GETTアプリのダウンロードは日本ではできないため、現地についてすぐには利用できず大変困りました。

 タクシーには、屋根にどのアプリが使えるかバナーが立っています。アプリが使えなければ、ホテルのフロントなどに呼んでもらうしかありません、ホテルの前に停車しているタクシーに断られたので、ホテルのフロントに呼んでもらったら、そのタクシーに結局乗ったこともありました。要するにフリー客は好まれていないようです(かといって乗せてもらえるケースもあるので、運次第です)。メーターはついておらず、GETTならばグーグルマップ上で走行距離を計算するシステムがあるようですが、ぼられるケースはなかったです(ただし、事前交渉でふっかけられたケースはありました)。


 テルアビブでは、自転車のライドシェアも発達しています。

 
 出稼ぎの労働者のためにエクスチェンジハウス(両替屋)が街中にあり、ブロックチェーンを利用した送金システムを採用しています。銀行の送金手数料は割高で敬遠されているようです。


 
 テルアビブはイスラエルの中でもリベラルな方が多いとされ、エルサレムとは随分雰囲気が異なります。エルサレムでは結構見かけたアラブ系や超正統派(ハレディム)はあまり見かけません。

 スタートアップ大国として注目を集め始めていた当時、イスラエルは未曽有の好景気に沸き、通貨高が進んでいました。特にテルアビブでは不動産価格が急騰しており、80㎡、4部屋のマンション価格が226万シェケル(当時のレートで約7000万円)、68㎡、2部屋で290万シェケル(同約9000万円)も出ていました(場所やグレートによりますが)。当時のレートは1シェケル=30円強でしたが、今は1シェケル=約40円で、さらに現地価格も大幅に上がっているとみられます。


 
 一方、世界有数のスタートアップ大国と言われている割には、社会システムは結構非効率なところもあり(銀行業やライドシェアなど規制がいろいろと厳しいそうです)、1回の訪問ではその真の実力の裏側まではよくわかりませんでした。

 しかし、イスラエルの急成長の秘密は、テルアビブよりもエルサレムで目にするのでした。ここは次回報告したいと思います。


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