甘草屋敷と樋口一葉(山梨県甲州市)
前回、塩山駅北口前にある甘草屋敷(かんぞうやしき)を簡単に紹介させていただきましたが、今回、少し詳しく報告させていただきます。
甘草屋敷は、江戸時代後期に建築された民家で、旧高野家住宅に名前で蔵などの付属建物や宅地も含め、国の重要文化財に指定されています。
高野家はこの地で長百姓を務めた家柄で、江戸幕府に納める甘草を栽培していたことから、甘草屋敷と呼ばれています。甲州民家と呼ばれるこの地方特有の建築となっています。
甘草は甘味料や調味用として繁用される一方、薬用としても広く用いられ、重要な生薬でもあります。食品としては、醤油・味噌・せんべい・チョコレート・塩辛など、多種多様の品目に使われています。薬用では、主に漢方薬の原料として、厚生省指定漢方処方210品目中150処方に配合され、最も多用されている原料です。
甘草屋敷の甘草はウラルカンゾウです。高野家ではこの甘草栽培により、1872年(明治5年)まで免税の特典を受けていました。ここに残る甘草は、「甲州甘草文書」の記述によると少なくとも340年を経ていることになり、日本で最も古い由緒を持つものとして知られています。
蔵の一部は甘草資料室および旧5000円札の肖像で親しまれて北口樋口一葉資料室になっています。樋口一葉の両親が塩山出身であったことが縁となっており、近くの慈雲寺には文学碑などもあります。
甘草屋敷は現在、公園として整備事業が進められています。
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