あちこち旅日記

乗り物好きの旅行日記。コスパのよい贅沢な旅がモットー。飛行機、鉄道の搭乗乗車体験記やグルメ情報をご紹介します。

京都でみかけた5000円ラーメンに思う

 円安が進む中で外国人観光客が増えたことで、何かと話題になっているのが、単価5000円を超えるラーメンや「インバウンド丼」の存在です。築地や豊洲に行けば、高級食材を使った海鮮丼ならありかなと思えるのですが、5000円ラーメンの存在は半信半疑でした。しかし、このたび京都でついに実物に遭遇しました。


 この日は、朝東京駅発ののぞみ号で京都に向かい、昼食後、午後の顧客訪問というスケジュールになっていました。


 東海道新幹線は10月1日に開業60周年を迎えました。

 京都駅に着きました。外国人観光客であふれています。

 八条口で下車し、ランチの場所を探します。

 興味を惹かれるお店は残念ながらありません。

 駅前を見ても、ホテルや公共施設が立ち並ぶだけです。

 自由通路を通って西口方面に向かいます。平日の昼前にもかかわらず人があふれています。

 伊勢丹の前に伏見酒スタンドを発見。しかし、午後仕事があるので、ここは我慢。

 ここで聞いてもよかったのですが・・・。

 すぐ上が伊勢丹だったので、何か飲食店があるだろうと期待して、エスカレーターを登ります。駅全体が見渡せます(向かいは八条口方面)。

 中央口方面を見下ろします。

 京都タワーの眺め。

 伊勢丹11階のテラスから見下ろした光景です。

 一つ下に降りて10階に入ります。

 さほど空腹でなかったので、ここにある「拉麺小路」で軽くいただくことにしました。

 各地の有名店が出店していますが、折角なので京風ラーメンのお店にしました。行列が出来ていました。

 看板には大きく「和牛サーロインステーキらーめん」が出ていました(2800円)。

 「ダブル和牛サーロインステーキらーめん」は5000円。誰が頼むのかなと思っていたら、中国人観光客らしきカップルが注文していました。

 ただ、スープに合うのか甚だ疑問です。和牛ステーキを食べたければ、ここでラーメン食べて、ステーキレストランをはしごした方がよさそうに思いました。


 多くの日本人客は鶏ガラスープのラーメン(890円)を注文していました。私もこれを注文。こちらは美味でした。

 いくら円安だと言っても、5000円ラーメンはさすがに外道だと思ったこの日でした。


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 ところで、最近インバウンド観光について大変残念な意見が出て来ています。オーバーツーリズムの弊害や、外国人によるホテルやレストランの値上げに耐え兼ね、「外国人料金をとれ」というものです。しかし、これは絶対にやってはいけないことです。


 皆様も、客の顔を見ながら「あなたは5000円」「あなたは3000円」とあからさまな差別をされたら果たしてどんな気分になるでしょうか。私は、かつて発展途上国で何度も不愉快な経験をしてきましたが、これを我々がするというのはあってはならないことです。ましてや国籍や人種で差別をするなど、非常識極まりなく、おもてなしの精神に逆行するものです。京都の5000円ラーメンも、下品なだけで外国人からぼったくりをしているわけでも、差別しているわけでもありません。


 海外でも、外国人フロアを設置するなど、ハード面やサービスで差別化する分料金が変わるケースや、より単価が高いメニューだけを掲載している外国人向けのものはたまに遭遇したことはありますが、同じサービス・メニューで異なる料金を提供しているケースは見たことがありません。


 かつてや中国やキューバなどで、外貨兌換券というかたちの二重通貨制度を採用し、事実上の外国人料金を設定していたケースはありましたが、現在では両国とも二重通貨制度は廃止されており、外国人料金は存在しません。


 こんな主張が存在するのも、日本経済の衰退で貧しい者は豊かな者より奪い取って当然だ、という考えがいつの間にか日本人の間に芽生えてきているためではないでしょうか。まるで、マルクス主義の亡霊が復活したかのような議論です。こうした議論が出る国の共通点は経済発展、社会の発展が遅れ、倫理感が崩壊していることです。


 所得が低いということは、スキルに乏しい、勤勉さを欠くことに起因するという現実を謙虚に受け止め、勤勉に働く、スキルを向上させる、生産性を上げる、ということに日本人も力を注ぐべきではないでしょうか。


 博物館などの公費で運営しているものについては、地元の納税者が運営費を負担しているとの考え方に立てば、地元割引は合理的です。しかし、その場合も外国人だからという理由で差別するべきではなく、県営施設なら県外からの来訪者であれば日本人でも外国人と同条件で扱うべきでしょう。


 一方、観光客の出すゴミの処理や、道路インフラなどの整備も公費が使われています。こうした経費に観光税を課すことには私は賛成です。観光客は住民税を払う代わりに宿泊代に上乗せして税金を払うことがむしろ公正です。課税所得400万円ならば、住民税が40万円になることを考えれば、1日当たり1000円(年間換算で36.5万円)の負担をしてもらえばバランスがとれます。1泊2日ならば2000円を徴収することはフェアではないでしょうか。未成年者はそもそも住民税非課税なので、修学旅行生から徴収するというこはないでしょう。


 日帰り客の出すゴミは?などそれでも解決できないことはまだ残ります。しかし、重要なことは、理論と理念の裏付けに基づいた議論をすべきであり、国籍や人種で差別をしたり、豊かな者からぼったくるという発想をするべきではないということです。外国人に不快なことをするのでなく、彼らが自己責任で興じるカジノで正々堂々巻き上げるべきです。日本人の勤勉さと倫理観が今問われています。


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