あちこち旅日記

乗り物好きの旅行日記。コスパのよい贅沢な旅がモットー。飛行機、鉄道の搭乗乗車体験記やグルメ情報をご紹介します。

高速道路での相乗りについて:姫路市の騒動を教訓に改善策を考える

 9月13日に、兵庫県姫路市の自動車専用道路、姫路バイパスにある「姫路サービスエリア」で、一般道からのサービスエリアの利用を制限するために一般道との接続を遮断する工事が行われたことが報じられていました。


 このSAでは、それぞれが自分の車で集合し1台に乗り合わせてから目的地に向かう「相乗り」が多く行われており、 この「相乗り」で残った車が駐車場を占領した結果、施設の利用者が少ない時間帯でもほぼ満車状態となっていたことが問題視されていました。




 確かに、休憩のためにSAを利用したいドライバーが駐車スベースを利用できないのは問題で、一般道からの乗り入れを制限するのはやむを得なかった措置だとは思います。しかし、私はガソリンや高速道路料金の節約のためにこうした相乗りを行うことは理になかっており、地球温暖化対策の推進のためにはむしろ奨励すべきであると思っています。




 ガソリン代の値上がりに対して不満をお持ちのドライバーはこの記事の読者にも多いのではないでしょうか。こうした方の前で大変心苦しいのですが、日本のガソリン代は先進国の中では割安であり、これはガソリン税負担の軽さに起因しています。日本よりもガソリン価格が割安な国は産油国が多く、先進国では石油産業を抱え、環境意識の乏しい国(典型的なのが米国)くらいです。石油の輸入コストがかさむ日本は、むしろガソリンが割高になるのが自然ですが、ガソリン税負担が軽いことでガソリン価格が割安になっています。環境問題に熱心な国が、国民に負担を課してまで地球温暖化対策に取り組む一方で、日本は国民の人気取りを優先し、地球温暖化問題に対して後ろ向きな国と批判を受けても仕方がない状況にあります。



 インフレに対して、ガソリン税の引き下げや補助金給付により価格引き下げを求める声は小さくありませんが、ガソリン価格を引き下げれば、需要を喚起してしまいます。このため、本来の「値上げ→重要の抑制→価格低下」の市場メカニズムが働かないことになり、価格上昇圧力を一層高めることになります。むしろ逆効果となり、賢いインフレ対策とは思えません。原油価格の高騰に対する政策は、減税や補助金給付ではなく、省エネに向けた構造改革が最善策です。今一度オイルショック時に世界でいち早くインフレの封じ込めに成功した日本の政策を思い出すべきでしょう。


 ガソリン税と消費税の二重課税を問題視する声もありますが、これも的外れの議論です。そもそも、間接税=政府に帰属する付加価値、と考えれば、それに消費税を課すことはおかしなこととは言い切れません。実際に、酒税やたばこ税などの間接税にも消費税はかかっています。二重課税を解消しようとすると、実務的に消費税計算を複雑化させてしまい、小売店も消費者にも大混乱をもたらすことになってしまいます。


 また、二重課税を解消したとしても、それは減税や補助金交付と同様の効果をもたらし、かえってガソリン価格の上昇圧力を高めてしまうことになります。形式論にこだわり「やはりおかしい」というのであれば、ガソリン税の税率を1.1倍にすれば、消費税10%を二重課税するのと同じ結果になります。


 世界的にも割安なガソリン価格をさらに引き下げ、炭素燃料の消費を増やしてしまえば、日本は身勝手で地球温暖化に後ろ向きな国としての批判を一層高めることになりかねません。ここ数年、地球温暖化による異常気象が相次ぎ、集中豪雨が多くの方の命を奪っています。太平洋の島しょ国では水没問題を抱えています。原子力発電の危険性を指摘する声はあっても、この問題があまりにも軽視されている感があります。原発に反対していながらガソリン税引き下げを主張している政党がありますが、矛盾に満ちた無責任な人気取りの政策であり、私は不信感を抱かざるを得ません。数年先にガソリン車が禁止されることが決まっている国もありますが、電気自動車に切り替えたとしても、電源を火力発電に依存していては意味がありません。


 今一度、公共交通機関に恵まれない地方部の方には心苦しいのですが、安易なガソリン税引き下げや補助金積み増しには慎重になるべきではないでしょうか。デフレ脱却が課題だった日本では、インフレによる弊害がさほど大きいわけではありません。せめてガソリン税を変動税にし、原油安局面で増税し原油高局面での物価上昇を回避すべく減税しながら、長期的に諸外国並みに徐々に増税してことが望ましいと思われます。


 物流費の上昇が間接的に国民生活に与える影響が大きいということであれば、トラックやバスなどには軽減税率を適用し、自家用車には通常税率を負担してもらうということもありでしょう。


 サービスエリアの駐車スペースが占拠されてしまったために、評判を悪くした相乗りですが、こうした問題を起こさないように問題を改善しつつ、奨励していくことを望みます。


 一番よいのが、相乗りメンバーの家を一軒一軒まわってピックアップしていくことですが、家が遠すぎるなど現実的でないかもしれません。このため、SA近くに公設駐車場の整備を進めることなどが一考に値するでしょう。そもそも、SA周辺の地価は安く、廉価が利用料金で駐車場を提供できるはずです。必ずしも公共事業で実施する必要はなく、固定資産税を免除するなど民間業者の参入を促していくべきでしょう。


 トラックやバスなどの生活に必需な商用車は別として、レジャーに自家用車で高速道路を使うような遠出は好ましいとは思えません。高速道路にはバス路線も充実していることからバス停をSAに設置し、駐車場にマイカー駐車して高速バスを利用し、目的地でレンタカーやカーシェアリングを利用してもらえば、ガソリン消費量や高速料金を削減できるはずです。レンタカーやカーシェアリング会社にとっても、鉄道駅や空港以外でもビジネスチャンスが拡大していくことになり、前向きに取り組んでくれるのではないでしょうか。


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