あちこち旅日記

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台湾の親日さを理解するための映画と文学:明日10月13日より隔離義務撤廃


 各国の入国規制の緩和や、帰国時の陰性証明が不要になったことを受けて、年末年始の海外旅行をご検討されている方も少なくないのではないでしょうか。しかし、年末年始というと国際線の航空チケットをとるのは難しく、円安でただでさえ高騰しているホテル代も大きく値上がりしてしまいます。


  そこで台湾がお勧めです。陰暦のために、年末年始でも通常の週末と混雑度は変らず、クリスマス休暇の欧米人観光客も少なく、ハワイのようにコストが急騰することはありません。


 その台湾ですが、明日10月13日より入国時に課されていた3日間の在宅検疫義務が撤廃され、7日間の自主防疫に変更されます。自主防疫期間中の外出には、2日以内に行った抗原検査の結果が陰性であることが必要で、自主防疫期間中の滞在場所は「1人1室」が原則となるなど、まだ完全な自由化とは言えませんが、公共交通機関の利用も可能なようで、一人旅の方には行動制限はほぼなくなります。さらに規制緩和が行われれば、家族やお友達とのご旅行も可能になると期待されます。正確な情報は日本台湾交流協会のサイトでご確認ください。



 さて、台湾の魅力は何と言っても親日で昔の日本人のような価値観を共有している方たちです。でも、台湾の方たちがなぜ親日なのか、理解している方がどれだけいらっしゃるでしょうか。そこには、複雑な歴史があります。


 私が出しゃばって下手な解説をするよりも、次に挙げる書物や映画をご覧いただくのが理解を深めるのにベストだと思います(複雑すぎ、かつ機微な問題もあり私もきちんと説明できる自信なし)。もっとも、戦前以来、多くの日本人が台湾の発展に貢献し、台湾の方との友情を築いてきたことがあったことは間違いなく、戦前戦後の歴史をタブー視することなく、日本統治時代の再評価を許してきた台湾政府(特に国民党初の内省人の首席・総統である故李登輝氏)の度量には頭が下がります。


台湾映画


非情城市:廃墟のようになっていた九份を一躍有名にした(千と千尋ではありませんよ)、終戦前後の台湾の混乱期を描いた映画。台湾人の複雑な歴史感が凝縮されています。戦後、引き揚げていく日本人の友人との別れを惜しんで見送る台湾人や、「これ使って」と大事な着物をプレゼントする日本人、外省人を見分けるために内省人が日本語で話しかけ、答えられないと「こいつ外省人だやっちまえ」と襲いかかるシーンが印象的。台湾旅行、特に九份に行く前に見ていたら台湾の印象が随分違っているかもしれません。


「KANO 1931 海の向こうの甲子園」:戦前、甲子園を沸かせた(準優勝)嘉義農林学校(現在の嘉義大学)の活躍を描いたドラマ。日に本人と台湾人(漢人、原住民)が団結しているシーン、台湾人たちが日本人であることに誇りを持っていただけているシーンは感動的。台湾でダムを設計し、現在でも尊敬されている故八田 與一博士(配役:大沢たかお)も登場し、KANOナインを激励します。


文学


望郷の道(北方謙三):戦前、森永、明治とともに日本三大菓子メーカーと呼ばれた新高製菓がモデルといわれています(キャラメルが主力商品だったようです)。創業者の森平太郎とその妻は北方謙三の曾祖父母にあたるそうです。任侠小説や、起業小説の性格も持っていますが、台湾の孤児を幼女にし育てるなど地元社会にも大きく貢献した創業者や、同社のフェアなビジネスを評価し、台湾の発展にもつながるとして支援した台湾民生長官を務めた後藤新平などが描かれています。残念ながら新高製菓は時代の波に勝てず1971年に廃業しています。


街道を行く 台湾紀行(司馬遼太郎):故司馬遼太郎の「街道を行く」シリーズは43巻ありますが、国外編もいくつかあり、第40巻が台湾編です。週刊朝日にも連載され、故李登輝元総統との対談も掲載されました。司馬遼太郎は43巻目を執筆中に他界されましたが、台湾紀行はまさに遺作と言ってもいいでしょう。台湾の政財界にいかに親日が多かったがわかります。


漫画
新ゴーマニズム宣言スペシャル「台湾論」(小林よしのり):台湾や中国を巻き込み外交問題にもなった問題の書。日本の台湾統治を高く評価しつつ、戦後の蔣介石や国民党の圧政を中心に描いた中身になっています。中国語に翻訳され、台湾でもベストセラーとなりましたが、小林氏は本省人や台湾独立派には「司馬遼太郎の再来」と評価される一方、多数派を占める外省人や国民党支持者からは非難を受け、一時入境禁止となり本も台湾では発禁となってしまいました。しかし、「発禁本」となるとついつい読みたくなるのが人情です。



ブログ


2018年に年末から2019年の年始にかけて、息子と一緒に台湾周遊鉄道の旅をしました。年末年始旅のご参考にしてください。












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