あちこち旅日記

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英語ができないと軽蔑される国もあるので注意と覚悟を

 先日、キャセイ航空CAによる「中国人の英語からかい事件」について論評しました。



 ところで、英語が出来ないと実際にどれだけの支障があるのでしょうか。もちろん、海外への業務出張や観光の際に英語ができるのにこしたことはありませんし、インバウンド観光の拡大や外資企業の日本進出の増加もあり、国内においても英語の重要性はますます高まっています。


 実際に、今の子供たちの英語力は確実に向上しています。今では中3生の半分は英検3級、高3生の半分は準2級レベルです。難関大学にチャレンジするには、4技能のうちのスピーキングを除く3技能(リーディング、ライティング、リスニング)は1級レベルないと厳しいようです。英検できたかたらといって、それがコミニュケーション力につながるとは限りませんが、その逆はありません。


 もし、私が企業の採用担当者だったら、同じ実力ならば英語力のある候補者を採用します(英語に限らずどの外国語でも同じです)。それは、海外ビジネスができるということだけでなく、語学習得という大変根気のいる作業ができる人材だからです。IQがよほど低いならともかく(これはテストすればわかりますが)、語学を習得できない人は「すぐに投げ出してしまう人」と思うからです。ただし、外国語ができても、帰国子女は優遇しません。そもそも、英米人ならばどんな頭の悪い人でも英語話せますし、中国人ならば誰でも漢字の読み書きできます(知人の中国人によると「そんなことない、その人の教養による」とのことでしたが・・」。


 ところで、「俺英語できないから」と英語が苦手なことを自慢する年配の経営者の方もいらっしゃいます。これは何も自慢にならならず、英語ができないことで「見下される」どころか人格まで否定される国があるということを忘れてはいけません。


 以下、出張や旅行で多くの国を訪問した私の実感です(もちろん個人差がありますので、あくまで参考にしてください)。


 今ではポケトークや、グーグル翻訳などの武器があり、語学が苦手な方でも何とか旅行できるようにはなりましたが、不愉快で恥ずかしい思いは避けたいものです。


 アメリカ・・・ここが一番ひどいです。ここに来るなら英語は出来て当然という扱いです。外国語を話しているグループがいると、不法就労者扱いしたり、耳障りだと露骨に不快感を示す人もいます。「観光客だから」という配慮はハワイなどを除きあまりありません。
 その一方で、地域や出身国により彼らのなまりも結構ひどいです。「英語を話せるか」と言っていながら、「おまえこそ何語話しているんだ」と言いたいような方もたくさんいます。それでも英語を話していることが重要ですので、自分の発音は気にせず堂々と話した方がよいです。
 
 英国・・・アメリカと比べると外国人にはかなり寛容な印象です。欧州と陸続きなので外国人観光客やビジネス客が多く、また英国人も世界各国に進出した歴史があり、外国人との付き合い方がよくわかっています。彼ら自身、フランス語など欧州の言語を中心に学校でよく勉強します(実際に英語になった欧州大陸の単語はフランス語などを中心にたくさんあります)。外国人が英語を習得するのが大変だということを理解している方は多く、気を使ってわかりやすく話してくれる方は多いです。
 ただし、発音についてはアメリカよりも厳しめです。聞き返されることもありますが、決して悪気があるわけではありません。スコットランドなどに行くと、なまりがきつい地域もあります。ロンドンに本社を置くある企業の会長さんが、コールセンターのインド人スタッフの発音がひどいと株主総会で詰問され、「私もスコットランドの英語がわからない時がある」と答えて乗り切ったのは有名な逸話です。


その他英語圏(豪州、NZ、カナダなど)・・・移民の国であり状況はアメリカに近いのですが、ここに来るなら英語は出来て当然だとか、外国語を聞くのも不快だという方はアメリカと比べては少ないです。観光にも力を入れていることが背景にあり、外国人を歓迎してくれる風土の国では、観光やビジネスでの滞在はかなり過ごしやすいのではないでしょうか。


非英語圏の新興大国(中国、ロシア、メキシコ、ブラジル、トルコなど)・・ここもタチが悪いです。ここに来るならば、こちらの言語は話せて当然。勉強してから来いというスタンスの方が多いです。英語ができなくても卑屈になったりせず自国語に誇りを持ち、堂々としているのは敬意を表しますが、コミュニケーションには苦労します。要するに大国であるがゆえに、外国人との交流が(人口比で)少ない国です。そんな中でも英語が話せる方は一生賢明努力した方々で、人格的にも優れた出自もよい方が多いです。日本の状況もどちらかというと、過去にはこうした国に近かったのではないでしょうか。
 日本でも日本語が話せても発音やアクセントがおかしい外国人をからかったりする方は少なくありません。少なくとも、「日本にくるなら日本語勉強してから来い」などというのはやめたいものです。彼らは日本にはるばる来ているお客様です。


非英語圏の先進国(主に欧州大陸の国)・・・意外に英語の通用度高いです。小国では複数言語を話せる方もおり、ドイツやオランダ、北欧ではネイティブに近い水準で話す方も少なくありません。フランスは通じないという方もおりますが、そんなことはありません。日本人とわかると、普通は現地語ではなく、英語で話しかけてくれます。お互いネイティブではないので、対等な関係で話せますが、欧州言語の英語の習得は彼らの方が容易なので、英語の水準は高いです。先方にも英語が苦手な方もいるので、英語ができなくても見下されることはあまりないですが、少しでも現地語できると、フレンドリーです。


旧英国植民地圏(香港やシンガポール、マレーシア、フィリピンなど)
・・・植民地時代から英語での学校教育が行われています。教科書も英語のものを使用しているので、英語は幼いうちから習いますし、できないと大きなハンディを負います。一方英語ができることが政府機関やグローバル企業の採用の条件となるため、必至に勉強します。そのため、英語能力はエリート意識の根底にあり、英語ができない者を見下す傾向もあります。極端な場合、「英語もできない出自の者」「教育を受けていない者」とみなされ、クズ扱いされることもあります。

 また、英国による支配を受けてきた彼らにとって、西洋人は畏敬の存在です。また、西洋人もこれを勘違いし、わが者顔でふるまっており、このことも現地人に大きな影響を与えているようです(本国では紳士でも、ここに来ると人が変わってしまうような方もいるようです)。私も、中国人と間違われて西洋人に差別的な扱いを受けたことがあります、日本人とわかった途端に態度を変えて、詫びてきた経験があります。
 もちろん、これを表に出すかどうかは個人差がありますが、一番注意を要するのは、この地域です。
 私の香港での知人にとても親日な企業経営者がいました。彼の会社は中国本土に工場を持ち、日本企業から部品を購入して家電製品を組み立て販売していました(その後残念ながら、経営破綻してしまいましたが・・)。彼が日本に興味を持ち始めた理由として「日本人は英語が下手なのに、なぜこんなに発展できたのか、興味を抱いた」と言っていました。「英語ができない=発展できるはずがない」という先入観は、これらの地域の人々の英語観を代表しているのではないでしょうか。



非英語圏の中小国(韓国、台湾、タイ、インドネシア、ベトナムなど)
 日本と同様に英語ネイティブではありませんが、自国経済の規模が限られるため、外国語の習得がビジネス上必要な国々です。必ずしも、全国民の英語力が高いわけではありませんが、その分英語が下手な外国人を見下すこともあまりありません。一方で、言葉が通じない時でも英語が堪能な方がいるととても頼りになります。難解な語彙を使うわけではないので、観光で行く分には、英語ができる現地の方とはむしろコミニュケーションはとりやすいかもしれません。
 一方で、ビジネス界では英語ができることは重要になります。英語力は出世に大きなポイントになり、プライドの高い方は少なくありません。


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