あちこち旅日記

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昭和のバブル経済が残した遺物?:平日の幕張新都心は閑散としていた

  千葉県千葉市の幕張新都心に行ってきました。幕張といえば、土休日に大型イベントが開催されたり、また千葉ロッテマーリンズの本拠地として華やかなイメージがありますが、平日の日中はどうなっているのでしょうか。


 幕張新都心の最寄り駅は京葉線・海浜幕張駅になります。ちなみに、3月18日には東京寄りに新駅・幕張豊砂駅が開業しています。ここはイオンモール幕張新都心の最寄り駅になっており、買い物客で賑わいを見せています。





 


 今回訪問したのは、幕張メッセなどを中心とした海浜幕張駅周辺です。海浜幕張駅の駅ナカには多くの店舗が入っています。

 北口を出ると、イオンの本社があります。

 幕張テクノガーデン。立派な建物ですが、ほとんど外に出ている方を見かけません。

 駅の南口には幕張メッセがあります。しかし、歩いている方はほとんどいません。

 この日は11か所ある展示場も使われておらず、閑散としています。

 国際会議場のイベントは午後1件だけ。

 イベントホールも使われていませんでした。

 国際会議場ですが、ここも閑散。この日はイベントがあったようですが、午後の1件だけで、稼働状況は芳しくないようです。正面右に見えるのが、アパホテル&リゾート 東京ベイ幕張(旧幕張プリンスホテル)。左側の奥に見えるのが、ホテルニューオータニ幕張。

 ホテルニューオータニ幕張は直営で、1993年開業以来営業を続けています。


 一方、旧幕張プリンスホテルは、1988年に宴会棟、1993年にホテルタワーが開業しましたが、 2004年に西武鉄道株式の有価証券報告書虚偽記載問題が発覚し、その後の上場廃止により経営再建計画がスタートし、2006年にアパグループが買収しています。全2007室あり、セントラルタワーは全室オーシャンビューになっています。
 海沿いと、ホテルの東側には幕張海浜公園が広がり、千葉ロッテマーリンズの本拠地ZOZOマリンスタジアムがあります。しかし、試合のない日は閑散としています。

 東側の公園内には日本庭園美浜園があります。入場料100円ですが、平日の日中はほとんど人がいません。広さ1.6haの園内は池や筑山などによって山や川、海、林などが表現されています。見事は庭園ではありますが、歴史あるものではなく人工的なものです。

 幕張駅の南東には、三井アウトレットパーク幕張がありますが、平日は閑散としています。言い換えれば、都心部からも近く穴場といえるかもしれません。


 幕張新都心は1967年(昭和42年)の「海浜ニュータウン計画」及び1975年(昭和50年)「幕張新都心(A地区)基本計画」によって開発されました。幕張メッセはその中核施設であり、1989年(平成元年)10月9日に千葉県日本コンベンションセンター国際展示場(幕張メッセ国際展示場)が完成しました。


 当時は競合する東京国際見本市会場が老朽化していたことで東京モーターショーなどの大型イベントの移転やバブル景気も相まって、開業から1年2ヶ月で来場者数1000万人を突破するなど好調でしたが、バブル崩壊による伸び悩みや1990年代後半には東京都心近くに東京ビッグサイト開業の影響などで稼働率が低下し始め、リーマンショック直後の2010年(平成22年)には稼働率が30%台前半まで低下しました。この間、施設の増設が行われたことも過大な投資の原因になってしまいました。


 幕張メッセの施設は「国際展示場」が千葉県、運営会社である幕張メッセが「国際会議場」「幕張イベントホール」を所有しています。運営会社は、メッセ全体の運営管理受託と「国際会議場」「幕張イベントホール」の利用料が収入になっており、新型コロナ感染が拡大した2020年度には赤字でしたが、現在は黒字を計上しています。


 しかし、国際展示場は過剰設備を抱えており、赤字体質が続いています。千葉県と千葉市からの財政支出で赤字を補填し、公債の償還に充てているのが現状です。地元メディアの千葉日報の報道によると、2010年度までに累計348億円を両自治体が負担しています。両自治体による毎年の負担額は15億円前後で、既に500億円を上回る財政負担が生じていると推定されます。さらに東京五輪にも関連し、2016~30年度の15か年で総事業費約160億円を投入した改修も計画されており、財政負担はさらに肥大化する模様です。


 計画当時は、昭和のバブル絶頂期で、日本人の多くがこの繁栄が永遠に続くと誤解していた時期であったかもしれません。全てを行政当局の責任に押し付けるべきではありませんが、行政はとかく前例主義で、現状の延長線でしか考えられない傾向があります。ビジネスに必要なのは、厳しい時にこそリスクをとって投資を行う判断力と前例のない事業を創出する力(アニマルスピリッツ)であり、行政に期待するのは無理があります。ましてやそれを理解・承認するだけの判断力を持った議員も地方ではそうはいないでしょう(いい例が、東日本大震災で経営が悪化したホテルを二束三文で外資に売却してしまい、その後外国人観光客に好評な高収益施設になったヒルトン小田原だと思います)。


 諸外国と同様にこのような都市開発は基本民間のリスクマネーに任せ、コンセンション(入札)方式で国や自治体が収益分配を受け取るようにすれば、財政負担はなくむしろ歳入増につながるのではないでしょうか。


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