あちこち旅日記

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風評被害に苦しむ福島の生産者を支援:アンテナショップとふるさと納税

 福島第一原発の処理水放出が始まって以来、連日のようにテレビのニュースをにぎわしています。風評被害の広がりに対して政府を批判する報道やSNSでの配信も少なくないのですが、「安全と安心は違う」「風評被害の拡大」といった報道は、ある意味で日本国民や近隣諸国に正しく理解していただける好機にもなり得るのかもしれません。


賑わう福島県のアンテナショップ
 昨日、東京日本橋にある福島県のアンテナショップ・MIDETTEに昼休みに寄ってみました。開店直後にもかかわらず、店内は福島の生産者を支援したいという方たちで賑わっていました。スタッフさんにお話しをうかがったところ、処理水放出以来、常連さんを中心に来客数が増加しているとのこと。福島の方を支援したいという思いに加え、安全性を示す科学的根拠が報じられたことで、「何となく不安だ」と思っていた消費者の理解が進んでいるのかもしれません。「禍転じて福となる」結果になってくれるとよいのですが・・。

 私も、震災前に泊まった旅館の料理のおいしさが忘れられず水産物を購入したかったのですが、あいにく水産物の品そろえが少なく断念。この日は、カフェテリアで冷やしラーメンをいただき、喜多方ラーメン、桃のゼリー、カツオフレークの缶詰を買って帰りました。


 水産物は、タコ、イカ、そして季節外れの鮟鱇とちょっと残念。

 野菜もこれだけ。少量配送で輸送費が乗っている分、割高になってしまうのは仕方なさそうです。

 カフェテリアはこのあとすぐに満席になりました。

 この日のメニューは、冷やしラーメンでした。ただ、氷で冷やすのでスープが水っぽくなってしまい残念でしした。

 リベンジに、喜多方ラーメンを自宅に買って帰りました。

 ほかに、桃ゼリーと

 カツオフレークの缶詰め。これも福島産水産物と言っていいでしょう。

 お酒もいろいろ売っています。

 麺類(日本そば、うどん、ラーメン)

 お米と馬刺し

 はちみつも特産品です。

 パンフレットなど旅行情報もあります。

 アクセス方法など詳しくは以下のバナーをご参照ください。


ふるさと納税の寄付額も急増
 福島産水産物の人気が高まっているのは、アンテナショップだけではありません。各種報道によると、政府が東京電力福島第1原発処理水の海洋放出の開始日を決めた8月22日以降、福島県沿岸部のいわき市に対して、ふるさと納税による寄付が件数・金額とも3~4倍に急増している模様です。市によると、寄付した人の約9割は返礼品に海産物関連を希望しており、カツオやサンマの冷凍・加工品などが幅広く選ばれている模様です。



 ところで、SNSなどでいまだに目立つのが、処理水放出をめぐる政府への批判です。主だったものとしては
①中国による水産物の輸入禁止措置を引き起こした政府への批判
②周辺国への説明が不十分なまま放出した政権の不手際
③汚染水を放出するならば東京湾に放出しろ
④そもそも「処理水」は安全ではなく、政府発表も信用できない
などがあるようです。


 このうち、④はいまだに「処理水」と「汚染水」の区別がつかず、トリチウムの危険性を正しく理解していない科学的リテラシーに欠ける国民がいるのは残念なことです。政府が統計を改ざん・隠ぺいしているとすれば、疑念があるのは中国の方でしょう。日本は世界で最も権威ある専門家集団であり国連傘下の国際機関であるIAEAの監視・査察を受け入れ、かつ国内・世界の基準値を大きく下回るレベルにまで薄めて放出し、欧米諸国や世界的なメディアからは支持と信頼を集めています。SNSを通じたフェイク情報の発信や、一部の偏った専門家(偽専門家?)の意見、極左勢力による放出反対デモについてのメディアの報道は、中国政府系メディアに引用され、科学的リテラシーが十分でない一般の中国国民への洗脳に使われてしまっています。メディアの方はこうした点を踏まえ、報道が与える影響を慎重に検討するとともに、誤情報についてのファクトチェック機関の審査結果も報じてもらいたいものです。



 ファクトチェックとは、SNSでの情報の発信内容が正しいかチェックする機能であり、ツイッター(X)などに独自機能があるほか、主要メディアが共同で設立した非営利組織のファクトチェックセンター(JFC)によるものもあります。JFCでは、ファクトチェックで誤情報と判定されたものについて、誤情報との審査結果と正しい事実の拡散を呼びかけています。



 

 その典型的な例が、6月29日に鳩山由紀夫元首相がツイッターに投稿した「汚染水には放射物質に加え、金属腐食による多量の不純物が含まれ、海洋生態系への悪影響が極めて深刻」との投稿です。JFCでは8月30日付で、この投稿が誤情報であると断定しています。



 ちなみに、鳩山元首相はツイッターへの誤情報の投稿をたびたび繰り返している存在として有名です。これまでにもたびたびツイッターのファクトチェック機能で「公開処刑」され、謝罪に追い込まれています。政界を引退したとはいえ、元首相としてあるまじき行動ではないでしょうか。


 また、れいわ新選組の山本太郎議員も、汚染水が処理されずにそのまま放出されているとする中国発の誤情報をそのまま発信しています。同議員の投稿は既に誤情報であることが既に明らかになっている中国発のイラストをリツイートした噴飯ものです。同議員が「間抜け」「不勉強」なのか「悪意を持ってツイートしている」のかわかりませんが、国会議員が風評被害の解決に向けて背を向けるどころか、さらに被害を大きくするような言動をしているのはいかがなものかと思われます。「国会議員は、議院で行った演説・討論・表決について、院外で責任を問われない」という院外免責特権がありますが(日本国憲法第51条)、国民の利益に反するような院外での「フェイク情報」を野放しにしてもよいのかと思えます。




 このほかにもタレントなどのインフルエンサーにもこういった方々は少なくないようです。しかし、以下の鳥海氏のコメントを見るように、処理水放出に反対するツイートのほとんどは立憲民主党、共産党、れいわ新選組の関係者・支持者によるもので、とりわけれいわ新選組によるものが多くなっています。政治家が自らの政治的利益のために、またインフルエンサーにおいてはアクセス数稼ぎのために、フェイク情報を流している感があります。



処理水放出を政争の道具にするな
 注目すべきは極左政党だけではなく、立憲民主党関係者・支持者による投稿も少なくないことです。原発事故が旧民主党政権下で起きたことでもあるためか、同党は原発処理水問題を政争の道具にしない方針を打ち出していますが、社民党出身者には立憲民主党の方針に反し、風評被害を拡大するような言動が目立ちます。
 本来、こういう時こそ学術会議の出番のはずですが、全く行動が見られません。菅前首相時代に学術会議の在り方の見直しが起き、論争になっていましたが、今となっては政府の主張に説得力を感じます。何の貢献もしないなら廃止されても当然ですし、せめて委員の報酬を最低賃金相当にし、その分風評被害の救済に充てて欲しいと思うところです。

 また、処理水放出を巡っては、欧米諸国や大半のメディアが日本政府の方針を支持・理解しているのに対し、近隣諸国でも政争の道具に使われています。
 韓国では、現在の保守政権は日本との協力関係を重視し、処理水の放出は「科学的な議論」に基づくべきだとしています。政権が処理水放出を事実上容認する一方で、野党左派勢力は反対運動を主導し、日本大使館の入るビルに対する抗議デモを扇動しています。韓国でも原子力の専門家は、日本に対して理解を示しており、漁業関係者の間も野党勢力の批判がむしろ風評被害の元凶となっているとの声が高まってきています。しかし、ひとたび政治問題化してしまえば、こうした「科学の声」はかき消されてしまいます。実際に政権交代前は、保守勢力も処理水の不安を誇張し、左翼政権を批判していました。
 政治問題化させている先鋭は中国であることはいうまでもありません。科学的に説明をしたいという日本政府の要請をことさら断り、説明を受け付けてことなった経緯があります。今さら「説明不足」だとか「一方的に」などと言われる筋合いはありません。
 処理水の放出が始まる前にも、既に中国政府は日本産水産物の輸入に際して全量検査を実施し、事実上日本からの水産物の輸入ができなくなっていました。中国側の狙いは、様々な言いがかりをつけて日本政府を脅して、日米欧による中国包囲網から日本を脅して切り離すことであると思われます。半導体の輸出制限を解除させるための交渉道具として処理水問題を使っているとみられ、ハナから説明を受ける意思はなかったと思われます。時間に制限がある中で、周辺国への説明が不十分なままでも放出しなければならなかった岸田政権を不手際というべきではないでしょう。
 下記「レコードチャイナ」の記事を読む限り、理性的で科学的リテラシーのある中国人に論理立って説明すれば納得してくれているようです。問題は中国政府の情報統制にあります。正しい情報を知らされず反発している中国人の多くは、第二次世界大戦下で熱狂していた日本人や、ウクライナ侵攻を正当化しているロシア人とも共通しており、ある意味で同情すべき立場にあります。中国の民主化こそが解決を図る唯一の方法かもしれません。



 このことは、処理水の影響がより大きいであろう台湾の反応をみればわかります。行政院(内閣に相当)の報道官は8月24日、台湾周辺海域に到達する処理水がもたらす放射性物質の影響について「無視できるレベルだ」と述べるなど、これまでのところ政府や民間からの放出に対する批判は目立っていません。また、危険はないとの専門家の意見がきちんと報道されています(国境なき記者団による台湾の「報道の自由」はアジア首位です)。台湾は2022年に一部の品目を除き福島県産食品の輸入規制を解除しています。8月27日には在日台湾人団体の連合組織「全日本台湾連合会」が、日本の漁業者や水産物への応援を在日台湾人に呼び掛ける声明を発表しています。
 中国による「台湾への武力侵攻を除外しない」との見解に対する日本政府の抗議と米国との協調がこの事態を招いたとする意見もあるようです。しかし、東日本大震災で中国本土よりもはるかに大きな額の義援金を日本に寄せてくださり、今回も支援を惜しまない台湾の方たちへの恫喝を黙って見過ごすことがどうしてできるのでしょうか。あらゆる外交的手段を使って、同盟国である米国との協調して台湾への武力侵攻を中国に断念させるのは当然でしょう。
 太平洋の島しょ国の反応は賛否分かれていますが、批判的な国の多くは中国の影響下にあることは察しがつきます。
少なくとも、日本に最も近い北マリアナ連邦(サイパンなど)からは近隣の米国準州であるグアムとともに、日本に対する批判は聞こえてきません。


福島の方は風評被害を一掃したいの、それとも腹いせしたいだけ?
 処理水放出に反対する声の中には、「そんなに安全ならば飲んでみろ」とか「東京湾に放出しろ」などという声もあります。
 私は、安全性を訴えるパフォーマンスとして、処理水をさらに大幅に希釈して(太平洋の大きさと放出水の量を考えると、安全基準を満たした処理水を一滴巨大なプールに垂らしたものでも十分説得力があると思いますが)地元水産業者と政治家に飲んでもらうことは悪くないと思います(同時に中国政府要人や韓国の野党議員にも自国原発の排水を飲むように要求すべきです)。しかし、実際にはこれは法的にできないようです。むしろ、彼らが公開の場で福島県産水産物を食べることが現実的ではないかと思います。8月30日には岸田首相以下の関係閣僚が水産物を食べるシーンが報じられていますが、これを超党派の議員でやっていただきたいものです。
 一方「東京湾に放出しろ」というのは浅知恵といわざるを得ません。日本近海に放出されるトリチウムの総量は変わらず、近隣諸国の不安解消への説得力になりません(馬鹿にされて終わるだけです)。むしろ、東京湾の漁業者にも風評被害をもたらすリスクがあります。結局、「腹いせ」以外の何物でもありません。福島が求めているのは風評被害の一掃と補償であり、賢明な福島の方たちは腹いせに自分たちと同じ苦しみを他の地方の方たちに感じてもらうことなど望んでいないはずです。


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