奥の細道の風景が残る草加松原:日光街道宿場巡り③
草加宿を外れると日光街道は県道足立越谷線に合流し、すぐに綾瀬川沿いを行く1.5kmの遊歩道が並走します。ここは日本の道100選に選ばれている松並木で、「草加松原」と呼ばれて国指定の名勝となっています。
草加松原の松並木は、1683年(天保3年)の綾瀬川改修時に、関東郡代伊奈半十郎忠篤が植えたと伝えられています。1877年(明治10年)頃には806本あった松が、急速に普及した自動車の排ガスの影響で枯死が続き、一時は60本余りまで減少してしまいました。このため、地域住民により保存の機運が高まり、1976年(昭和51年)には草加市民による「松並木保存会」が結成され、マツの植樹と手入れが行われてきました。1983年(昭和58年)には、松並木の保存を図るため都市計画街路事業により松並木内にあった県道足立越谷線の車道を外側に移築して遊歩道化しました。こうした取り組みの結果、現在には松は500本以上にまで回復しています。
札場河岸公園にある木造五角形の望楼。埼玉県産のスギ、ヒノキで造られています。望楼の内部は螺旋階段になっており、午前9時から午後5時までのぼることができ、周辺の景色を眺めることができます。
札場河岸公園には松尾芭蕉の像もあります。残念ながらこの地で芭蕉が詠んだ句は残されていません。
1994年(平成6年)に完成した和風の太鼓形歩道橋「矢立橋」。ただし、すぐ下に横断歩道があり、距離も短く、交通量も少ないのに何のために作ったのか意味不明です。
この先には1986年(昭和61年)に完成した同様の「百代橋」があります。この起源はもちろん「百代の過客」です。
この付近に2019年に亡くなったアメリカ出身の日本文学・日本学者、文芸評論家。ドナルド・キーン氏直筆の碑があります。
「百代橋」の下には綾瀬川にかかる松原大橋があります。ここを渡ると草加市文化会館があり、草加せんべい、皮革、織物といった地場産業の製品が展示されています。草加は「せんべい・皮革・ゆかたのまち」として標榜しています。
草加市文化会館の先を南に戻るとお休み処「漸草庵・百代の過客」があります。この日猛暑だったので涼んでいきたかったのですが、この日はわずかに閉店時間に間に合いませんでした。
再び松原大橋を渡って百代橋に戻ると、東武鉄道獨協大学前駅に出ます。草加松原だけを見るのであれば、ここから徒歩5分程度なので近道です。
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