風評被害に苦しむ福島の生産者を支援(続編):マスメディアは誤情報防止に責任持って
一昨日、福島県のアンテナショップを訪問した件について報告させていただきました。風評被害に苦しむ福島県の生産者を支援すべく、アンテナショップの来客数や、ふるさと納税の申込件数が増加しており、支援の輪が着実に広がり、風評被害の拡大も抑えられていることにも言及させていただきました。
こうした中、昨日大変残念なことがありました。TBS系の番組「サンデーモーニング」にコメンテーターとして出演したジャーナリストの松原耕二氏が福島第一原発のALPS処理水の海洋放出について「処理水はまったく違う水」「トリチウムだけじゃなくてセシウムとかストロンチウムとかいろんな放射性物質が入ってる」と発言していました。
しかし、これは中国政府系メディアが盛んに扇動しているフェイク情報の典型的なものです(山本太郎衆議院議員もファクトチェックで誤情報とされている同様の内容をツイッターに投稿しています)。東京電力がALPS処理水の海洋放出を行う際には、トリチウム以外の放射性物質の濃度が国の基準を満たすまで再浄化処理(二次処理)されており、これは政府やIAEAによる査察で確認済みです。常識的な方が聞けば噴飯もののコメントですが、マスメディアの情報ということで信じてしまう方がいるかもしれません。
いずれこの発言はファクトチェックにかかり、松原氏は謝罪に追い込まれることになるでしょう。しかし、訂正せずに放送してしまったTBSの責任はないのでしょうか。この番組を見て政府や東京電力に不信感を抱いてしまった方がいるとすれば大変罪深いことになります。放送倫理・番組向上機構(BPO)もきちんと追及して欲しいと思います。「言論の自由」の名のもとに誤情報を配信することは許されるべきことではありません。同様に誤情報の多いSNSを鵜呑みにすることも危険です。
一方、地元の福島民報は、豊洲市場での活況の様子や、福島産水産物を使用し続ける寿司チェーンなどの声を紹介しています。こうした報道は、消費者の安心感につながり、風評被害の解消に寄与します。これこそが望ましいメディアのあり方でしょう。
またデイリー新潮も、築地市場を取材した記事を掲載しています。我々が知りたいのはこうした取材での海外観光客のナマの声です。
韓国でも、汚染水を処理水に呼称変更する政府の方針に対し、野党が反対しているようです。こうした処理水の不安をあおる言動は、北朝鮮のスパイによる影響が取り沙汰されているとの見方もあるようです。
一昨日の投稿でも触れましたが、マスメディアの役割は「処理水の放出に反対」「政府は信用してはいけないもの」というコメンテーターの思想を伝えることではないはずです。
処理水問題を政争の道具や私利私欲のために使うべきではありません。「科捜研の女」ではありませんが、科学は嘘をつきません。我々も科学を信じる心を強く持ち、正しい判断をしていきたいものです。昨日は、沢口靖子さんに「喝」入れて欲しいと思いった日でした。
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