あちこち旅日記

乗り物好きの旅行日記。コスパのよい贅沢な旅がモットー。飛行機、鉄道の搭乗乗車体験記やグルメ情報をご紹介します。

飛行機の非常口座席に座ることのメリットと重い責任

 1月2日に起きた日本航空機と海保機の衝突による炎上事故、また1月7日に起きたアラスカ航空のB737-MAX非常口扉の脱落し吹き飛んだ事故は正月気分も吹き飛んでしまう大変衝撃的な事故でした。




 私はこれまで何気なく飛行機の非常口座席に座っています。実際に、非常口座席は、エコノミークラスでも足元が広く、LCCだけでなく最近はレガシーキャリアでも追加料金を徴収しているケースが多いなど、人気になっているようです(ビジネスクラスだとこうしたメリットが小さく、前の座席の下に荷物を置けないことや、個人用モニターを離着陸時に収納しないといけないために、敬遠する方も多いようですが・・・)。


 一方、この座席に座ると非常時には客室乗務員のサポートをする義務が生じます。今までは、あまり気にしていなかったのですが、今回の件でその責任の重さを思い知らされることになりました。


 具体的には非常口に乗客が殺到したときに乗客を制止したり、乗務員の指示で非常口を開ける操作をすることがあります。海外のエアラインに搭乗する場合は、当然当該国の公用語と英語での乗客の誘導が必要になります。通常、エアラインが所在する国の言葉が話せない外国人の場合、非常口座席の利用を断られるケースが多いと聞いていますが、以前利用したブリティッシュ・エアでは、着席するなり客室乗務員の方が有無を言わせず、私の英語力も確認せずに「お願いしますね」と言い放って行かれました。ビジネスレベルの英語は大丈夫な私ですが、非常事態が起きた時に英語で混乱を制する行動が出来るかと問われれば、正直自信がありません。


 なお、日本の国土交通省の通達では、非常口座席を指定できる条件として、以下の6点が示されています。


1.満15歳以上の方(15歳未満の方は不可)
2.ご搭乗に際して付き添いの方や係員のお手伝いを必要としない方
3.航空機ドアの開閉など、緊急脱出の援助を実施することができる方
4.脱出手順の案内および乗務員の指示を理解し、他のお客さまへ口頭で伝えられる方
5.緊急脱出時に同伴者の援助をする必要がない方
6.緊急脱出の援助を実施することに同意する方


 今回の羽田空港の事故を鑑みると、私はこうした重責に耐えられる自信がありません。また、アラスカ航空のケースではたまたま非常口ドアの横に座っている乗客はいませんでしたが、その座っていたらと思うとぞっとします。今回の経験を踏まえて、私は非常口座席を利用するのは今後は控えたいと思うようになりました(一番安心なのが、非常口座席に近い通路側の席だと思います)。


 ところで、今回の事故をきっかけに、機内へのペットの持ち込みについて、賛否両論が出ています。国内のエアラインは貨物室に預ける規則になっているそうで、それを「かわいそうだ」とする意見があるようです。一方で、こうした声を主張する芸能人のブログやツイートが炎上するケースも相次ぎ根強い批判もあるようです。
 
 その後、スターフライヤー航空が、ペットの機内持ち込みを全路線に広げ、話題を集めています。もっとも、緊急脱出時には持ち出しが不可であることには変わりありません。またペットの持ち込み料金は1回あたり5万円と航空運賃よりも割高で、かつ最後部の窓側座席に指定されております。すなわちペットを連れている方の避難の優先度は一番低く設定されていることになります。




 それでも不満のある方は、大事なペットは家に置いていくか、飛行機以外の手段で旅行する、あるいはプライベートジェットを利用するのは仕方がない選択でしょう。


 では、お身体が不自由な方はどうでしょうか。日本航空のホームページには以下の記述があります。主要な航空会社はほぼ同様の規則を設けている模様です。


・身の回りのことがお一人では難しいお客さまは、必ずお付き添いの方と同一クラスでのご搭乗が必要となります。お付き添いの方には、空港内・搭乗時・飛行中・降機時における介護や援助、および緊急時の誘導・援助などをお願いいたします。
・国内線一部の機種では単独でのご移動が難しいお客さまお一人では、ご搭乗いただけない場合もございますので事前にお問い合わせください。


 旅客機には、90秒以内に全員が脱出できるようにするという国際的な基準が定められているそうです。このため、障害のある方の飛行機の利用には一定の制限が課されています。通常は、非常口座席から近い場所の座席が介助者とともに指定され、同じ便に一度に乗れる人数にも制限があるようです。


 2017年には奄美空港で車椅子の方がLCCの旅客機に搭乗を拒否され、自力でタラップをよじ登った出来事が障害者差別か否か注目を集めました。また、この時は障害者の方が事前に連絡していなかったことにも批判の声も集まりました。


 今回の事故を受けてペット持ち込み論争は話題になりましたが、障害者の飛行機利用については、障害者差別とされることを恐れて、話題にするのが避けられている感がありますが、航空会社もこうした障害者差別と批判されるのを恐れずに、広報活動に力を入れるべきでしょう。他の乗客の安全のためということを障害者の方にもご理解いただき、規則に従うことと、予約時の連絡を徹底していただきたいものです。


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