あちこち旅日記

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中国よりもひどかったインドの企業ガバナンス:18年前のチェンナイの秘蔵写真

 前回、中国の衛生管理体制のひどさについて報告しました。いくら27年前といっても、「だから中国は・・・」と思われる方もいらっしゃるのではないでしょうか。しかし、企業統治(ガバナンス)のひどさに関して、中国のはるか上を行く国があります。インドです。


 インドというと、人口13億人超同士でも少子化の進む中国を抜きつつあり、中国のリスク(反日や人件費の上昇、スパイ容疑での相次ぐ拘束など)を受けて、インドに注目されるビジネス関係者が増えてきているようです。また、①英語が通用する、②民主主義という価値観を共有している、などの理由からインドに親しみを感じている方も少なくないようです。


 しかし、民主主義が権威主義よりもビジネス環境的に優れているという根拠は何もありません。むしろ、テロ対策などの治安の維持は権威主義国家の方が優れている面もあります。権威主義の国では、政府の権限が強くなりますが、それが汚職につながるか否かは運用の問題です。


 英国植民地下にあったインドはヒンディー語とともに英語が公用語になっていますが、それならばフィリピンやパキスタンも同様に英語が公用語です。


 「インド式数学」を称賛される方もいらっしゃいますが、これもかなり怪しい面があります。OECDが数年置きに行っている国際学力調査(15歳対象)では、中国都市部はアジアNIESと並んで世界トップクラスですが、インドは不参加のため比較できません。しかし、かつてインドの一部の地方が試験的に参加したところ、数学的リテラシーは世界でもワーストに近い結果だったとの報道もあります。少なくとも、私の知っているインド人に2桁の九九が出来る者は誰もいません(そろばんの有段者の日本人の方がはるかに簡単に暗算で計算できます)。


 ましてや、企業統治や会計監査の信頼度に関しては、中国の方がインドと比べるとはるかにましというのが私の実感です。インドでは、役員の経歴詐称も日常茶飯事という話も聞いたことがあります。それを実感する出来事を18年前のインド訪問で経験しました。


 先日、机の中を整理していた時に出てきたお宝写真の中にインドの写真もいくつかありました。


 この時、訪問したのがインド南東部にある大都市チェンナイ(元マドラス)でした。


 チェンナイは「南インドの玄関口」「南アジアのデトロイト」「インドの健康首都」「インド銀行業の首都」の異名を持ち、自動車産業、情報技術産業、ビジネス・プロセス・アウトソーシング業が盛んな都市です


 当時はまだ露店の市場が残る一方で、近代的なショッピングモールが出来始めるなど、街には活気があふれていました。



 また、遺跡などの観光スポットも豊富で、イメージとしては1990年代のタイのアユタヤという感じでした(外資企業の進出も増えていたという意味でも共通点多かったです)。ただし、入場料に中国では廃止された外国人料金がありました。それも中国ならせいぜい倍でしたが、インドでは数倍から数十倍とひどかったです。今はどうなっているのでしょうか。




 チェンナイでは、地元の大手IT企業のキャンパス(インドのIT企業では開発拠点にあるサイトをこう呼びます)も訪問しました。公園のような芝生と、プールもついたキャンパスで、インドでも選ばれたエリートが働いている企業のように見えたのですが・・・。





 キャンパスには、マレーシアのマハティール元首相が訪問し植樹を行った記念碑もありました。創業者とも面談しましたが、いかにも洗練された「成功者」という方でした。



 しかし、4年後の2009年に大きな事件が発覚します。この年、同社が過去数年に渡り約10億米ドルの粉飾決算を行っていたことが明らかになり、同社が経営破綻に追い込まれました。同社の会計監査を担当していた英系監査法人のインド法人は責任を問われ、2年間の上場企業監査停止命令を受けました。


 外資系監査法人だからといっても、会計士たちはインド人です。また、監査法人がいくら頑張っても、全ての不正が見抜けるわけではありません。インドではその後、監査制度が強化されていますが、不正会計が指摘されることが跡を絶ちません。銀行も融資詐欺の被害をかなり受けているようです。いくら民主主義の国だからといっても、企業ガバナンスの信頼度とは全く関係はありません。


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