あちこち旅日記

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東欧生まれの「やまとなでしこ」もいいのでは

 ウクライナ生まれのモデルの椎野カロリーナさんがミス日本に選出されたことで、様々な意見が出ているようです。ミス日本コンテストでは、規定上「日本女性の美の最高位」を体現する出場者に栄冠を贈るとしていますが、欧州にルーツを持つ受賞者を選んだ判断が、美の基準や日本人であることの意味について疑問を投げかけているようです。


 日本国籍を持つ椎野さんは5歳の時から名古屋で暮らしています。スピーチでは流ちょうな日本語を話しており、声だけ聴いていれば全く違和感はありません。



ウクライナにルーツ持つ女性が「ミス日本グランプリ」に、SNS上では批判的な意見も…「日本らしい美しさ」とは?【Nスタ解説】|TBS NEWS DIG


 もし、ミス日本が在日韓国・朝鮮人や華僑をルーツに持つ方でしたら、外見は日本人と見分けがつかず、また別の反応になっていたかもしれません。実際に、美男・美女として人気がある芸能人には在日韓国・朝鮮人が多いと言われています。また、ご両親が中国出身である卓球の張本きょうだいの活躍について称賛されることはあっても、否定的な声は日本人からも中国人からも全く聞こえてきません。このことは「民族の違い」よりも顔立ちなどの「人種の違い」に強い違和感を感じている日本人がいかに多いことを示唆していると言っても過言ではありません。


 しかし、アメリカやイギリスなど、人種のるつぼの国からみれば、こうした批判を口にすること自体が大きな問題となりかねません。そもそもアメリカでは欧州系白人も黒人も、東洋人もルーツをたぐれば皆移民です。「アメリカ人であることの意義とは何か」といった声は聴いたことはありません。


 それでも1984年大会で黒人初のミス・アメリカとなったヴァネッサ・ウィリアムスさんは、ペントハウス誌に掲載された彼女の写真をめぐるスキャンダルに巻き込まれ、自らがタイトルの返上するように追い込まれるなど嫌がらせを受けています(その後彼女の承諾なき不当な掲載であったことが確認されたためタイトルホルダーとして認められました)。


 その後、2001年大会にはハワイ州代表のフィリピン系アメリカ人のアンジェラ・ペレス・バラキオさんが優勝し、初のアジア系のミス・アメリカとなり、2014年大会ではニューヨーク州代表のインド系アメリカ人のニーナ・ダヴルリさんが優勝し、アジア系アメリカ人としては2人目のミス・アメリカとなりました。2014年には次点もカリフォルニア州代表の中国系のクリスタル・リーさんでした。しかし、ネット上などではダヴルリさんをアラブ系、あるいはイスラム教徒と思い込んだ人々からの中傷が相次ぐ事態となり、むしろ人種差別問題として取り上げられました。




 今回のミス日本の騒動ついても、日本人の異人種への排他意識が「日本人のアイデンティティ」にすり替えられているように思えてなりません。


 地元にルーツがないことが問題ならば、日本全国のミスコンを渡り歩いている方はどうなってしまうのでしょうか。全国のミスコンでは、地元在住もしくは在勤・在学をエントリー資格にしている例はありますが、「本人だけでなく両親とも地元出身でなければならない」という規定など聞いたことはありません。


 外国出身者の存在が日本の価値観を崩壊させているとする根拠もありません。相撲の世界では、横綱大関をモンゴルなどの外国人出身者が多く占めていることに批判が絶えませんが、彼らは大相撲の伝統文化をよく守ってくれていると感じます(怪我で休場中に母国に帰りサッカーに興じていた元横綱はさすがに擁護できませんでしたが・・・)。モンゴル出身の横綱大関が多すぎるとの批判は、ふがいない日本人力士への叱咤激励と考えるべきでしょう。


 また、外国籍でも代表になれるラグビーで、日本代表となった外国籍選手が「君が代」を歌う練習をしているシーンには心を打たれます。日本に帰化した外国人選手でもサッカーのラモス瑠偉さんや、ラグビーのリーチ・マイケルさんなど、日本人よりも「サムライ」のイメージが似合う方もいらっしゃいます。


 最近何かと話題の「ユダヤ人」の定義ですが、遺伝的形質が基準となっているわけではありません。通説では「ユダヤ教を信仰し、ユダヤ教の教義にのっとったて暮らしている人たち」とされています。この定義を踏まえると、東洋人や黒人のユダヤ人が存在していてもおかしくはありません。


 私の職場の元同僚にかつて、まさに「やまとなでしこ」といえるような欧米系の女性がいらっしゃいました。日本人と結婚され東京在住が長い方ですが、初対面の時の第一印象は「金髪で青い目をして鼻は高いけど、立ち振る舞いはどうみても日本人」というものでした。


 一方で、アメリカやブラジルなどの移民日系人も3世くらいになると、日本語や日本の文化が理解できない方が多くいます。私の職場の同僚にも日系人がいますが、日本語は流暢に話せてもやはり外国人だと感じることがあります。また、日本語が全く話せない日系人の顧客もおり、普段は英語だけで会話しています。在日韓国・朝鮮人の3世以下の方の本国でのイメージとも共通しているのではないでしょうか。


 私は椎野カロリーナさんが「東欧出身のやまとなでしこ」のような新しいイメージを創出し、世界大会でもぜひ活躍してくれることを願っています。


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