サンドニの悲劇が蘇る:しくじり先生の海外旅行(第3話)
フランス・パリで、シャルル・ド・ゴール(CDG)空港とパリ市内の丁度真ん中くらいに「サンドニ」というところがあります。サッカー好きの方なら、有名なスタジアム(スタッド・ド・フランス)があるのでご存知の方が多いのではないでしょうか。高速道路から見えるスタジアムは壮観です。
このスタジアムでは2001年に日本代表がフランス代表で親善試合を行い、4対1の惨敗を喫したことがありました。あまりの惨敗ぶりに、この試合は「サンドニの悲劇」として語り継がれています。
実は私にとってもこのサンドニは忌まわしい思い出の地となっています。実は、サンドニのスタジアムは、高速道路が合流するところでにあり、よく交通渋滞が発生します。特に、夕方の帰宅時間帯の渋滞はひどく、私は渋滞に巻き込まれ、2度も飛行機を乗り過ごしたことがあります。
一度目は、欧州出張の最終日で、パリでの予定を終え、空港に向かっていた時でした。CDG空港に着いたのは出発時間1時間前でした。しかし、この空港の第2ターミナルは巨大なうえに、大変わかりにくい空港です(私が選ぶ世界最悪空港の一つです)。チェックインカウンターに行くまでに荷物検査を受けないといけないのですが、検査場も混雑し、カウンターに着いたのは40分前。何とかなるだろうと期待しましたが、カウンターで言われたのは「規則なのでどうにもして差し上げられません」の冷たい一言。この日で帰国だったので、翌日の便に振り替えるだけで良かったため、パリ市内に戻り、一泊しました。この時は1日観光できたので、不幸中の幸いだったかもしれません(さすがに次の日は早く出るようにしました)。
私が飛行機に乗り過ごしたことを受けて、私の勤める会社のパリ支店では①出張者の予定をタイトに入れすぎず早めに空港に着くようにすること、②タクシー利用ではなく、終日ハイヤーをアレンジすること、の号令が支店長から発せされたそうです。
しかし、その翌年2度目の悲劇が起きます。今回は、パリの後にストックホルムの顧客に会いに行く予定になっており、乗り過ごしは許されません。CDGからのフライトは午後7時出発、最後の顧客訪問は午後4時に終了としてもらい、通勤ラッシュにもかからないはずでした。しかも、最後のミーティングが予定よりも少し早く終了するなど楽勝ムードだったのですが、ここでの油断が大変なことをもたらしました。
アテンドしていたフランス人のスタッフが、オフィスに戻るの面倒だということで、「自宅が空港に行く途中にあるので、乗せていって」と言うのです。かなり余裕があったので、「別にいいけど」と了解したのが運の尽きでした。なぜか、この日は一般道も混んでいて、サンドニを通過した時に帰宅ラッシュに巻き込まれてしまいました。案の状、空港に着いた時にはエールフランス便の出発1時間前を切っていました。
この時は、すぐさまパリ支店に電話し、日本人スタッフにSOSを出しました。パリ支店では、スカンジナビア航空便を押さえてくれましたが、同エアラインは第1ターミナルからの出発で、移動するのにあまり時間の余裕がありません。ターミナル間の移動のシャトルバスの本数も少なく(タクシーには断られました)、こちらもカウンターに着いたのが出発40分前でした。
もっとも、第1ターミナルは簡単な作りであり、かつフライトが少し遅れるとのことで、運よく乗せてもらえました。シートベルトを締めて一安心と思ったら、悲劇が続きます。機体が不良とのことで、この日は飛ばず、翌日早朝再度来てくれとのことでした。もっとも、もともと乗る予定がない便に急遽乗せていただいた身としては、文句を言えるような立場ではありません。
ノーベル・ディナーが行われるストックホテルのグランドホテルに予約していたものの、泊まれなかったのは残念でしたが、この日は、スカンジナビア航空がホテルと夕食をアレンジしてくれました。ホテルは4つ星でしたが、部屋はゆったりサイズで、夕食のチキンステーキもおいしかったです。テーブルは相席でしたが、スウェーデン人ファミリーのママさんが、ワインを堂々と要求して出させたのには感心してしまいました。パパさんが子供たちに何やら耳打ちした後、可愛いソムリエさんたちが見知らぬ東洋人のおじさんに丁寧にお酌してくれたのは、ほほえましかったです。
さて、翌朝は6時台のフライトですが、ホテルからはエアラインがアレンジした専用バスの送迎があり、安心して空港に向かえました。チェックインの必要もないので、そのまま乗り込みます。シートベルトして、今度こそ大丈夫だと思ったら、悲劇はまた起こりました。最初はスウェーデン語のアナウンスでしたが、機内から失笑というべき声があちこち漏れてきて嫌な予感がしていたところ、英語のアナウンスになり、ここで全てを悟りました。この日、ストックホルムが大雪で飛行機が飛ばないというとを・・・。でも天気ならば航空会社を恨むわけにはいきません。そもそも全ての悲劇はエールフランス便に乗れなかったことから始まりました。
結局、この日はコペンハーゲン経由に振り替えてもらい、次の目的地のロンドンに向かいました。ストックホルムで面談予定のお客様は、たまたま次の日にロンドン出張が入っていたとのことで、ロンドンでランチをご一緒することができ、結果オーライでした
私はこの経験がトラウマになって、観光の場合、空港アクセスでは車は使わず列車を使うようにしています。また、空港にはカウンターが開く3時間前を目標に到着し、ラウンジを楽しむようにしています。
なお、問題の原因を作ったフランス人スタッフですが、後日支店長から大目玉をくらったそうです。
(しくじり先生のレッスン)
・空港到着は余裕を持って。ラウンジでお酒を楽しむつもりで行動。
・変な親切心が仇となるので、便乗はきっぱり断る
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